問題
Backup Exec の NDMP (Network Data Management Protocol) オプションでファイラー (NAS) のバックアップを実行する方法
解決策
NDMP はネットワークデータ管理プロトコル (Network Data Management Protocol) の略語で、異種混合ネットワーク接続ストレージにおける企業全体のバックアップのオープンで標準的なプロトコルになります。NDMP はデフォルトでポート 10000 番を使用するインターネットドラフト標準です。
Backup Exec の NDMP オプションによって、Backup Exec ではネットワークデータ管理プロトコル (NDMP) を使用して、以下で説明する NetApp ファイラーなどのネットワーク接続ストレージ (NAS) デバイスの初期化およびバックアップとリストアを制御します。
アーキテクチャモデル:
アーキテクチャはクライアントサーバーモデルに従っており、バックアップソフトウェアは NDMP サーバーのクライアントと見なされます。クライアントと NDMP ホスト間の接続ごとに、NDMP ホスト上に、NDMP プロトコルを使用して制御される仮想ステートマシンがあります。この仮想ステートマシンが、NDMP サーバーと呼ばれます。
NDMP サーバーは次の 2 つのサービスを提供すると考えることができます。
- DATA サーバー - このサービスはバックアップかリストアかに応じて、データをディスクから読み込んで NDMP データストリームを特定の形式で生成するか、NDMP データストリームを読み込んでディスクに書き込みます。
- TAPE サーバー - このサービスはバックアップかリストアかに応じて、NDMP データストリームを読み込んでテープに書き込むか、テープから読み込んで NDMP データストリームを書き込みます。複数のテープカートリッジへのデータストリームのまたがりなど、すべてのテープ処理関数はこのサービスで処理されます。
NDMP プロトコルについて詳しくは次のサイトを参照してください。
http://www.ndmp.org
NDMP ファイラー (NAS)
NDMP ファイラー、または NAS デバイスは、ファイルサービスを提供することを主目的としてネットワーク上に存在します。標準的なオペレーティングシステムを使用する NAS デバイス (例えば、Windows 搭載の NAS デバイス) は、バックアップエージェントのインストールをサポートしているため、他のファイルサーバーと同様にバックアップすることができます。しかし、NAS デバイスの中には、サードパーティのバックアップエージェントをサポートしないカスタムオペレーティングシステムを使用しているものもあります。NAS デバイスの標準的なバックアップインターフェイスは、ネットワークデータ管理プロトコル (NDMP) という形で存在し、これはバックアップエージェントのインストールをサポートしていない NAS デバイス用のバックアップ標準です。
Backup Exec の NDMP オプションでは、NetApp ファイラーなどのネットワーク接続ストレージ (NAS) デバイスのバックアップとリストアを初期化および制御するために ネットワークデータ管理プロトコル (NDMP) を使用することができます。NDMP オプションは、図1と図2に説明されているように、NDMP デバイスに直接接続されたテープデバイスへのバックアップ (直接接続) と、別の NDMP デバイスに接続されたテープデバイスへのバックアップ (ファイラー間接続) の両方をサポートしています。NDMP オプションは、テープ、ディスク、重複排除デバイスなど、Backup Exec サーバーに接続されているあらゆるデバイスへのバックアップもサポートしています。
NDMP - 直接接続 (Direct Attached)
直接接続またはローカルモデルでは、バックアップサーバーは LAN 上で NDMP を使用してファイラーを指示しバックアップを開始します。ファイラーはその後、ファイバーチャネルまたは SCSI 経由で、バックアップに含まれるデータをファイラーに直接接続するテープデバイスに送信します。バックアップ中にテープに書き込まれたファイルやディレクトリに関する情報は LAN 上の NDMP を介して、インデックスで情報が管理されるバックアップサーバーに転送されます。リストアでは、バックアップサーバーは LAN 上の NDMP を使用し、ファイラーにファイルリストア開始を指示します。データはローカルでファイラーに接続されたテープデバイスから読み込まれ、ファイラーに保存されます。バックアップおよびリストア中、バックアップサーバは書き込まれる実際のデータを受信することも、テープから読み込むこともありません。よって、このモデルは一般的に「LAN フリー」バックアップと呼ばれています。
図1.
NDMP - ファイラー間接続 (3 方向、3-way)
3 方向と呼ばれることも多いファイラー間モデルでは、バックアップサーバーは LAN 上で NDMP を使用し、同じネットワークまたはプライベートなバックアップネットワークを経由してファイラーB に接続されたテープデバイスへデータのバックアップを開始するようにファイラーA に指示します。バックアップ中、テープに書き込まれたファイルやディレクトリに関する情報はファイラー A から LAN 上の NDMP を介して、インデックスで情報管理されるバックアップサーバーに転送されます。
図のように通常 3 つのホストが関与することから、3 方向バックアップとして知られています。(図2)
- NDMP クライアント (1) を実行するホスト
- NDMP DATA サーバー (2) を実行するホスト
- NDMP TAPE サーバー (3) を実行するホスト
図2.
Backup Exec NDMP オプションでは、次の機能のサポートを提供します。
- テープデバイスが接続されたファイラーのバックアップおよびリストアのサポート。
- NDMPv4 のサポート。NDMPv4 に関する詳細情報は次を参照してください。http://www.ndmp.org
- 直接接続 (ファイラーのテープデバイス) のサポート。(図1)
- ファイラー間接続 (同じブランドのリモートファイラーに接続されたテープ、「3 方向」) のサポート。(図2)
- NDMP オプションでは、ディレクトリレベルのバックアップ対象選択をサポートします。
- NDMP オプションでは、ファイルレベルのリストア対象選択をサポートします。
NDMP ファイラーのバックアップ手順
段階:
1. NDMP オプションのインストール
2. NDMP デバイスの設定
3. (オプション) NDMP ストレージデバイスの追加
4. NDMP デバイスをバックアップとリストアサーバーリストに追加
5. NDMP オプションを使用したバックアップ
段階1: NDMP オプションのインストール
NDMP オプションは Backup Exec の別個のアドオンコンポーネントとしてメディアサーバー上にローカルでインストールされ、サポートされている NDMP デバイスを保護します。NDMP デバイスにコピーされるファイルはありません。
NDMP オプションをローカルのメディアサーバーにインストールするには:
1. 管理コンソール左上の Backup Exec アイコンから [インストールとライセンス] [この Backup Exec サーバーに機能とライセンスをインストールする] からインストーラーを起動します。
2. [ライセンスの追加] 画面で、NDMP オプションが利用可能なライセンスがインストールされていることを確認します。 画面の例のゴールドライセンスには、NDMP オプションライセンスが含まれています。(図3)
図3.
3. インストールする機能の選択画面で、[NDMP Feature] が選択されていることを確認します。(図4)
図4.4. 次へをクックし、インストールを完了します。
段階2: NDMP デバイスの設定
Backup Exec で NDMP リソースをバックアップするには、NDMP サービスが NDMP デバイス側で稼動している必要があります。
NDMP サービスは、NDMP デバイスで次のコマンドを入力することで開始できます。(telnet または Web インターフェース、ローカルログインを使用してアクセスします。)
1. NDMP を有効にします。(図5)NDMPFILER> ndmpd on
図5.
2. NDMP デバイスは、認証にチャレンジ (MD5) 方式を使用するように構成する必要があります。(図6)
NDMPFILER> options ndmpd.authtype challenge
図6.
3. NDMP デバイスで認証するには、root パスワード、またはシステムで生成された NDMP 固有のパスワードを持つ 非 root ユーザーを使用する必要があります。
この設定およびその他の設定を構成するには、デバイスのドキュメントを参照してください。
4. NDMP デバイスの NDMP バージョンが「レベル 4」に設定されていることを確認します。
NDMP バージョンを確認するには、ファイラーで次のコマンドを入力します。(図7)
NDMPFILER> ndmpd version
図7.
5. NDMP レベルを「4」に設定するには、ファイラーで次のコマンドを入力します。(図8)
NDMPFILER> ndmpd version 4
図8.
段階3: (オプション) NDMP ストレージデバイスの追加
直接接続 (Direct-Attached) またはファイラー間接続 (3-way) を使用する場合は、テープデバイスを Backup Exec のストレージデバイスとして追加します。
1. Backup Exec 管理コンソールの [ストレージ] タブに移動します。
2. [ストレージを設定] をクリックします。
3. 集中管理オプション (CAS/CASO) が有効になっている場合は、NDMP デバイスにアクセスする Backup Exec サーバーを選択します。
4. ネットワークストレージを選択します。(図9)
図9.
5. NDMP ストレージを選択します。(図10)
図10.
6. NDMP デバイスのサーバー名または IP アドレスを入力します。(図11)
図11.
7. NDMP デバイスのログオンアカウントを選択します。
8. ストレージの構成の概要を確認し、[完了] をクリックします。
9. 構成完了後に、Backup Exec サービスの再起動が要求されますので再起動します。
10. Backup Exec サービスの再起動後は、ストレージタブで、NDMP デバイス名の下にテープ装置が表示されます。
テープ装置は Backup Exec サーバーに直接接続されたデバイスとしても表示されます。(図12)
図12.
段階4. NDMP デバイスをバックアップとリストアサーバーリストに追加
段階3で NDMP デバイスに接続されたテープデバイスをストレージデバイスとして追加すると、Backup Exec は自動的にその NDMP デバイスを バックアップとリストアサーバーリストに追加します。段階3を実施していない場合は以下の手順を実施します。
1. Backup Exec 管理コンソールの [バックアップとリストア] タブに移動します。(図13)
2. 画面上部リボンの [サーバーと仮想ホスト][追加] をクリックします。(図13)
図13.
3. [ファイルサーバーまたは NDMP データサーバー] を選択します。(図14)
図14.
4. NDMP デバイスのサーバー名または IP アドレスを入力します。
5. NDMP デバイスのログオンアカウントを選択します。
6. 概略を確認し、[完了] をクリックします。
7. NDMP デバイスのサーバー名または IP アドレスが [バックアップとリストア] タブに表示されます。(図15)
図15.
段階5. NDMP オプションを使用したバックアップ
1. Backup Exec 管理コンソールの [バックアップとリストア] タブに移動します。
2. NDMP デバイスのサーバー名または IP アドレスを選択します。
3. 画面上部リボンの [バックアップ] アイコンをクリックし、テープ、ディスク、重複排除などのバックアップ先のストレージの種類を選択します。(図16)
図16.
4. バックアップ定義のプロパティが開きます。(図17)
図17.
5. 画面左側の [編集] をクリックして、バックアップを取得するボリュームを選択します。
注1: 現在サポートされているほとんどの NDMP デバイスはファイルやフォルダーのブラウズがサポートされいないため、画面にはボリューム名だけが表示されます。フォルダーのバックアップをサポートしている NDMP デバイスの場合は、[選択の詳細] タブでフォルダー名を直接入力できます。(図18)
注2: NetApp のスナップショット ( ".snapshot" フォルダー) をバックアップする場合は、ボリュームごとに1つのスナップショットのみを選択でき、他のファイルシステムリソースは選択できません。
図18.
6. バックアップ定義のプロパティ画面の右側の [編集] をクリックし、スケジュール、特定のバックアップ先デバイス、オプションなどのジョブプロパティを構成します。
7. [OK] をクリックして、バックアップ定義のプロパティを保存します。
8. 構成によって一つまたは複数のバックアップジョブ (完全および増分) が作成され、指定されたスケジュールに従って実行されます。