Veritas NetBackup™ Appliance 容量計画とパフォーマンスチューニングガイド

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Product(s): Appliances (3.1.2 (5340), 3.1.2 (5330), 3.1.2 (5240), 3.1.2 (5230))
Platform: 5220,5230,5240,5330,5340
  1. このマニュアルについて
    1.  
      このマニュアルについて
    2.  
      対象読者について
    3.  
      NetBackup アプライアンスのマニュアルについて
  2. 第 I 部 容量計画
    1. バックアップ要件の分析
      1. バックアップ要件の分析
        1.  
          何のバックアップを作成しますか。
        2.  
          どれだけの量のデータをバックアップしますか。
        3.  
          いつバックアップを行いますか。
        4.  
          保持期間の長さはどの程度ですか。
        5. バックアップ要件を記録する
          1.  
            コンピュータのシステム情報を記録するテンプレート
          2.  
            データベース情報を記録するテンプレート
          3.  
            アプリケーションサーバー情報を記録するテンプレート
    2. バックアップシステムの設計
      1.  
        企業向けバックアップシステムのユースケースの対応
      2.  
        リモートオフィスまたは支店のバックアップシステムのユースケースへの対応
      3. NetBackup Appliance について
        1.  
          マスターサーバーの役割について
        2.  
          メディアサーバーの役割について
      4.  
        NetBackup 53xx 高可用性ソリューションについて
      5. 新しいアプライアンスの選択
        1.  
          メディアサーバーの選択
        2.  
          マスターサーバーの選択
  3. 第 II 部 ベストプラクティス
    1. ベストプラクティスセクションについて
      1.  
        ベストプラクティスについて
      2.  
        メンテナンスサイトへの参照
    2. 重複排除ソリューションの実装について
      1.  
        重複排除ソリューションの実装について
      2.  
        一般的な推奨事項
      3.  
        Oracle
      4.  
        Microsoft SQL
      5.  
        DB2
      6.  
        Sybase
      7.  
        Lotus Notes
    3. ネットワークに関する注意事項
      1.  
        ネットワークに関する注意事項について
      2.  
        ファイバーチャネル接続について
      3. SAN ゾーンの設定について
        1.  
          NetBackup Appliance 用の SAN のゾーン化について
      4.  
        ネットワーク帯域幅の検証
    4. ストレージ構成
      1.  
        ストレージの構成概要
      2. 共有ストレージプールの構成について
        1.  
          バックアップの基本ストリーム数の計算
      3. パフォーマンス向上のためのストレージパーティションの移動について
        1. パーティションの移動
          1.  
            [<partition> の移動 (Move <partition>)]ダイアログ
        2.  
          NetBackup Appliance シェルメニュー を使用したパーティションの移動
        3.  
          最適なパフォーマンスのために、MSDP パーティションをベースディスクから拡張ディスクに移動する
    5. 一般的なベストプラクティス
      1.  
        一般的なベストプラクティス
      2.  
        通知設定について
      3.  
        IPMI 構成について
      4.  
        ディザスタリカバリのベストプラクティス
      5.  
        ジョブのパフォーマンス
      6.  
        アーキテクチャ
      7.  
        NetBackup カタログのバックアップ
      8.  
        SLP (Storage Lifecycle Policy、ストレージライフサイクルポリシー) によるパッチ修正
      9.  
        アプライアンスを使った VMware バックアップ
      10.  
        NetBackup Appliance のリストアパフォーマンスの向上
  4. 第 III 部 パフォーマンスチューニング
    1. 役割ベースのパフォーマンスの監視
      1.  
        パフォーマンスに影響する要因としてのロールベースの設定
      2.  
        マスターサーバーのパフォーマンスに影響するもの
      3.  
        メディアサーバー (MSDP) のパフォーマンスに影響するもの
    2. ネットワーク設定の最適化とパフォーマンスの改善
      1.  
        ネットワーク設定の最適化とパフォーマンスの改善
      2.  
        SAN ファイバーチャネルの設定
      3.  
        ネットワーク結合
      4.  
        VMware VADP
      5.  
        増加した MTU に対するジャンボフレームの実装
    3. ストレージ構成
      1.  
        ストレージ構成
      2.  
        重複排除のディスク I/O と RAID レベルの設定
      3. RAID コントローラ操作
        1.  
          RAID コントローラコマンド
      4.  
        重複排除の負荷分散
      5.  
        ストレージライフサイクルポリシー
      6.  
        自動イメージレプリケーション (AIR)
      7.  
        AdvancedDisk の設定
      8.  
        テープ出力操作
    4. NetBackup Appliance のチューニング手順とパフォーマンスの監視
      1. パフォーマンスの診断に関する問題について
        1.  
          CPU の監視と調整について
        2.  
          メモリの監視と調整について
        3.  
          ネットワークの監視と調整について
        4.  
          I/O の監視と調整について
        5.  
          リソースのボトルネックを特定するための一般的なガイドライン
      2. パフォーマンスチューニングプラクティスについて
        1.  
          I/O パフォーマンス調整について
        2.  
          Oracle のバックアップとリストアのパフォーマンス調整について
        3.  
          WAN の最適化パフォーマンスの向上のための NetBackup クライアントでの NET_BUFFER_SZ の設定
      3. チューニング手順とパフォーマンスの監視について
        1. NetBackup クライアントのパフォーマンス
          1.  
            nbperfchk を使って NetBackup Appliance のディスクパフォーマンスを検証する
        2.  
          他のパフォーマンス監視コマンド
  5. 第 IV 部 容量計画とパフォーマンスチューニングのクイックリファレンス
    1. 容量計画のチェックリスト
      1.  
        容量計画のためのチェックリスト
      2.  
        容量測定のワークシート
    2. ベストプラクティスのチェックリスト
      1.  
        ベストプラクティスのチェックリスト
    3. アプライアンスのパフォーマンスの監視方法
      1.  
        アプライアンスのパフォーマンスの監視について
      2.  
        パフォーマンス監視表

共有ストレージプールの構成について

NetBackup Appliance は、最適なパフォーマンスが得られるようにVeritasによって事前に調整されます。このセクションでは、NetBackup 52xx シリーズの環境を構築して最適なパフォーマンスを得るためのベストプラクティスについて説明します。 これらのベストプラクティスを使うことにより、アクティブな並列実行ストリームのカウント中にオーバーコミットするのを避けることができます。これは、ストレージプールで I/O パフォーマンスが低下するのを防ぐ際に重要になります。 一般的な環境で実装されているこれらのベストプラクティスを理解するために、以下の例について考えてみましょう。

環境の概要

  • 2 つのメディアサーバーと 1 つの共有ストレージプールから構成される NetBackup ドメインがあります。 ストレージプールでは、独立ストレージユニットを使って関連クライアントからのバックアップ操作を指示し、複製やイメージレプリケーションなどの操作も実行します。

  • デフォルトでは、ストレージプールのリソースの構成によって、全ソースからの I/O ストリーム (ジョブ) の数が制限されることはありません。 これは、ストレージプールはその種類、テクノロジ、アーキテクチャによってパフォーマンスがそれぞれ異なるためです。

環境で直面する問題

  • 次のような各種操作からのストリームの読み込みまたは書き込みが多すぎた結果、I/O の数がプールの限界量を超える可能性があります。

    • バックアップジョブ

    • 複製ジョブ

    • レプリケーションジョブ

  • この問題は、個々のストレージユニット構成におけるストリーム制限の設定に関係なく発生する場合があります。

  • このような限界量を超えてしまう問題は、SLP 方式と AIR 方式のポリシーの場合、単一のストレージプールに対して開始できる操作の多重度が原因でさらに悪化する傾向があります。

  • このようなオーバーコミットが発生すると、対象のストレージプールのパフォーマンスが急速に低下し、操作が遅延して、サービスレベル契約 (SLA) に準拠できなくなる可能性があります。

推奨事項 1:

バックアップ、複製、レプリケーションなどのすべての操作によって指定のストレージプールに書き込まれる、または指定のストレージプールから読み込まれる可能性のある並列実行ストリームの合計数を計算する場合は、[Maximum I/O streams (最大 I/O ストリーム数)]と[Maximum concurrent jobs (最大並列実行ジョブ数)]の値を考慮する必要があります。 バックアップの基本ストリーム数を計算する方法について詳しくは、バックアップの基本ストリーム数の計算 を参照してください。

限界量を超えてしまう場合に備えて、キーの変更は 2 つにしておくことがベストプラクティスとして推奨されます。

  • ストレージプールの[最大 I/O ストリーム数 (Maximum I/O Streams)]の件数設定の調整。

    [最大 I/O ストリーム数 (Maximum I/O Streams)]の値を設定するには、NetBackup 管理コンソールの利用可能なディスクプールデバイス一覧から、マスターサーバー上にある適切なディスクプールを選択して編集します。

    • NetBackup 管理コンソールで、[メディアおよびデバイスの管理 (Media and Device Management)] > [デバイス (Devices)] > [ディスクプール (Disk Pools)]を選択します。

    • [ディスクプールの変更 (Change Disk Pool)]ウィンドウの下部で、チェックボックスをクリックし、目的の値を指定して[最大 I/O ストリーム数 (Maximum I/O Streams)]の値を調整します。

  • 各メディアサーバーが共有のターゲットストレージプールにデータをプッシュするときに使う各ストレージユニットの[最大並列実行ジョブ数 (Maximum concurrent jobs)]の値の調整。

    ストレージユニットの最大並列実行ジョブ数パラメータを設定するには、NetBackup 管理コンソールの利用可能なストレージユニット一覧から、マスターサーバー上にある適切なストレージユニットを選択して編集します。

    • NetBackup 管理コンソールで、[NetBackup の管理 (NetBackup Management)]>[ストレージ (Storage)]>[ストレージユニット (Storage Units)]を選択します。

    • バックアップジョブと複製ジョブの両方の書き込み操作の数に基づき、目的の値になるように最大同時並行ジョブ数を調整します。 デフォルト値は「1」に設定されています。

      メモ:

      ストレージプールの[最大 I/O ストリーム数 (Maximum I/O streams)]の値は、組み合わされたストレージユニットの共有ストレージプールにジョブを送る能力「最大並列実行ジョブ数」よりも少ない場合に優先されます。

1 つのディスクプールを共有する 2 つのストレージユニットの最大ジョブ数の合計が 110 (各ストレージユニットの最大並行実行ジョブ数が 55) であると仮定します。

  • プールの[最大 I/O ストリーム数 (Maximum I/O streams)]が 90 の場合、アクティブにできる最大ジョブ数の合計は 90 になります。

  • 60 のジョブが一方のストレージユニットにサブミットされ、20 のジョブだけがもう一方にサブミットされる場合、対象のストレージプールにすべてのジョブを処理する能力があっても、5 つのジョブが最初のストレージユニットでキューに登録されたままになります。

推奨事項 2:

メディアサーバーの設計と共有ストレージプールを指定する関連ストレージユニットに関して、次のような追加の注意事項が考えられます。

  • 現在、メディアサーバーはそれぞれ独立したストレージユニットによって構成されていますが、どちらも同じストレージプールにデータをプッシュします。 この構造設定は、特にストレージプールの最大 I/O ストリーム数の制限値が定義されている場合、複雑化して単一の共有ストレージプールに対する書き込み操作の数が増加する可能性があります。

  • ストレージユニットの使用方法を単純化すると、環境の複雑化とストレージプールのリソースの潜在的なオーバーコミットを回避するときに役立ちます。これは特にソースクライアントに多数のデータ選択項目またはバックアップ指示句が存在する場合に有効です。

  • 共有ストレージプールを指定する同じストレージユニットを共有するように 2 つのメディアサーバーが再設定される場合。 この場合、バックアップ中と複製操作の書き込み側の並列書き込みストリームの最大数は、ストレージユニットの[最大並列実行ジョブ数 (Maximum concurrent jobs)]の値に基づいて制限されるようになります。