問題
Simplified Disaster Recovery (SDR) を使用した Backup Exec サーバー自身のシステム復旧方法
注: SDR を使用した Backup Exec サーバー自身の復旧は、リモートサーバーの SDR と比較して、ローカル SDR と呼ばれることもあります。
解決策
事前準備
A. 管理者ガイドの Simplified Disaster Recovery を使用するための必要条件 を確認します。
B. Backup Exec データベース暗号化キーのエクスポート を参照しデータベース暗号化キーをバックアップします。
データベース暗号化キーは Backup Exec サーバー以外の別場所に保存することをお勧めします。
C. ディザスタリカバリ情報ファイルの代替の格納場所 を設定します。
ディザスタリカバリ情報ファイル (DR ファイル) には復旧に必要なバックアップセットの情報と復旧対象のコンピュータ固有の情報が含まれます。詳しくは Simplified Disaster Recovery でディザスタリカバリ情報ファイルを使う方法 をご確認ください。
D. 管理者ガイドの SDR を有効にしたバックアップ を確認します。
リカバリを実施する前に Simplified Disaster Recovery を有効にしたバックアップジョブが成功していることを確認します。
注意: ローカル SDR では、次のストレージデバイスからの復旧が可能です。バックアップ先をこれらのデバイスに設定します。
- ローカルディスクにあるディスクへのバックアップデバイス
- リモートサーバーのファイル共有や NAS 装置
- テープ装置
- RDX カートリッジデバイス
- USB 接続されたディスク
次のストレージデバイスから ローカル SDR を実施することはできません。
- 重複排除ディスクストレージデバイス
- OpenStorage (OST) デバイス
- クラウドストレージ
- クラウド重複排除ストレージ
E. SDR 起動ディスクの作成 を参考に起動ディスクを事前に用意します。
復旧操作
1. SDR 起動ディスクからシステムを起動し、使用許諾契約に [同意する] ボタンをクリックします。
図1
2. 画面右下のタイムゾーンをクリックし、タイムゾーンを設定します。日本時間の場合は、[(GMT +09:00) 大阪、札幌、東京] を選択します。
図2
3. 次のようにコマンドプロンプトから日時を確認し、異なっている場合は正しい日時を指定します。
a. [ユーティリティ] タブから [コマンドプロンプトの起動] をクリックします。
b. date コマンドで現在の日付を確認し、異なっている場合は yyyy/mm/dd 形式で正しい日付を入力します。
c. time コマンドで現在の時刻を確認し、異なっている場合は hh:mm:ss.ms 形式で正しい時刻を指定します。
図3
4. 必要に応じて [ネットワーク] タブから [ネットワークサービスを開始] をクリックし、 [ネットワーク接続を設定] からネットワーク情報を設定します。
次のような場合にネットワークサービスの開始と設定が必要です。
- リモートサーバーのファイル共有や NAS にバックアップを取得している
- DR ファイルの代替保存先としてリモートサーバーのファイル共有や NAS を指定している
- データベース暗号化キーのバックアップをリモートサーバーのファイル共有や NAS に保存している
- SDR のログを収集し、リモートサーバーのファイル共有や NAS にコビーする
図4
5. ネットワーク設定後は [ネットワークドライブの割当] からネットワークドライブの割当を行います。
図5
注意:上述の方法でネットワークドライブの割当時にトラブルが発生された場合は、以下のコマンドで設定してください。
[ユーティリティ] タブからコマンドプロンプトを開き「net use」コマンドを使用してネットワークドライブを割り当てます。
net use コマンドの構文:
net use <ドライブレター>: \\<サーバー名>\<共有名> <パスワード> /user:<ドメイン名>\<ユーザー名>
例1:
net use z: \\my-nas\backup MyPassword1 /user:mydomain\administrator
サーバー名の代わりにIPアドレスも指定できます。ワークグループ環境の場合はドメイン名の代わりに「.」を指定します。
例2:
net use z: \\192.168.0.10\backup MyPassword1 /user:.\administrator
6. [修復] タブを選択し、[このコンピュータをリカバリする] をクリックします。[データは、このコンピュータにローカル接続されたデバイスにあります] を選びます。
注意: リモートサーバーの SDR の場合は [データは、リモート Backup Exec サーバーに接続されたデバイスにあります。] を選択します。
図6
7. [参照] ボタンから最新の DR ファイルを選択し、[次へ] をクリックします。
通常、最新の DR ファイルは、DRファイルの代替保存先にあります。ディスクストレージにバックアップしている場合には、ディスクストレージフォルダー内にも最新の DR ファイルが保存されています。
図7
8. リカバリ対象のバックアップセットを確認し、[次へ] をクリックします。
画面下部に必要なバックアップセットが表示されます。テープ装置を使用していて、テープカートリッジを別の場所に保管している場合は、[メディアラベル] 欄に表示されたテープカートリッジを用意します。
[特定時点] 欄でバックアップを取得した日時を選択することができます。
システム復旧に必要のないドライブはチェックを外し SDR でのリカバリを省略することができます。
図8
9. ストレージプールやストレージスペースの構成が必要な場合は Powershell をクリックしコマンドラインからストレージプールやストレージスペースの構成を行います。
必要がなければ、このまま [次へ] をクリックします。
図9
10. リカバリに使用するストレージデバイスを選択し、[次へ] をクリックします。
この時点では、ドライブレターがバックアップ時点の状態に復旧されていません。ディスクストレージデバイスのドライブレターがバックアップ時点とは異なっている場合があります。
ディスクストレージデバイスが表示されていない場合は、[参照] ボタンからストレージデバイスを表示し、選択します。
図10
11. [ハードディスクを消去し、上記で示したようにボリュームレイアウトを再作成します] にチェックし、[次へ] をクリックします。
ボリュームサイズの拡張が必要な場合は [ディスクの詳細] から設定します。
図11
注意: GPT タイプのディスクを使用している場合は、ボリュームレイアウトの不適合のメッセージが表示されます。
[ディスクの詳細設定] をクリックし、現在のディスクレイアウトからパーティションを削除後に、[GPTに変換] をクリックし、[ディスクの詳細設定] 画面を閉じます。
図12
図13
12. リカバリ概略の画面を確認し [リカバリ] をクリックします。
図14
13. リカバリが完了するとデータベースの暗号化キーが求められます。[参照] ボタンからエクスポート先の暗号化キーを選択し、[次へ] をクリックします。
図15
14. [このコンピュータを再起動] にチェックし、[完了] ボタンをクリックします。
図16
15. ファームウェアのブート順の調整が必要な場合があります。
OS が起動しない場合は、ファーウェアの設定画面でブート順を変更し、最初のディスクが先頭になるようにします。図17は Hyper-V 使用時のファームウェア画面です。
図17
16. OS が起動したら、IP アドレス、ディスク、ドライブレターの割り当て状態を確認します。
SDR は IP アドレスを復旧しますが、NIC の認識状況によっては、IP アドレスが設定されていなかったり、IP アドレスが期待とは異なる NIC に割り当てられる可能性があります。
OS のバージョンやエディションによっては、2台目以降のディスクをオフラインとして認識する場合があります。ディスクがオンラインになっていることとドライブレターの割り当て状態を確認します。