企業の成長に伴い、既存のデータソリューションでは企業のニーズに対応しきれなくなってきます。新しいアプリケーションを起動するためのキャパシティの増加や、幅広い接続オプションの利用など、企業がデータセンターの新しい環境への移行を検討するきっかけになることはよくあります。
こうした基準に達した場合、移行に対応するようにデータセンターのビジネスプランを調整する必要があります。
現在、多くの企業が利用している老朽化したデータセンターのインフラは、効率的とも、十分であるとも言えません。ビッグデータの処理や保存に必要なパワーはありません。重要な IT ネットワークインフラは、ビジネスやイノベーションの能力を低下させるものではなく、企業に可能性を与えるものでなければなりません。
新しい分野への進出、競争優位性の獲得、あるいは業界での生き残りのためには、収集したデータを増強し、保護するインフラが必要です。データセンターの移行が成功すれば、生産性、効率性、俊敏性を向上させることができます。
さらに、増大するワークロードを最新のプラットフォームに移行することで、以下のことが可能になります。
データセンターの移行が必要だと判断したら、次のステップではそれを実現します。
データセンターの移行 (またはリロケーション) とは、既存のデータセンターの運用環境を別の (場所や IT インフラの) 環境に配備、移転するプロセスを指します。これは包括的なプロセスであり、体系的に計画したうえでデータセンターを新しい拠点、施設、または IT インフラに移転する必要があります。
移行では、データセンターを物理的または仮想的に新しい拠点に移す前に、論理的かつ運用的にデータセンターをリロケーションする必要があります。エンドユーザーの場合は、標準的なデータセンターや自社のデータセンター設備ではなく、クラウドやマネージドプラットフォームを導入することを意味します。
移行を成功させるには、以下のことを確認する必要があります。
移行時期について期限内に適切に判断するには、企業のデータセンターのパフォーマンスを常に把握しておく必要があります。把握していない場合、インフラのリソースが大幅に不足している可能性があるため、想定外の結果になることもあります。また、業界、コンプライアンス、セキュリティの基準を満たすことができない、つまりビジネスニーズを満たすことができないシステムに過剰な投資をしている可能性もあります。
現在、多くの企業では、知らないうちにレガシーシステムが障害となっています。Insight 社の調査報告書によると、大企業の IT 担当者の少なくとも 64% が、レガシーな IT インフラや古い技術が IT 変革の最も大きな障壁であると考えていることがわかりました。調査対象者の 51% が、予期せぬ課題のために変革の取り組みを断念した、または停滞させたと回答しています。
レガシーテクノロジのコストは、金額だけの問題ではありません。ダウンタイム、不要なストレス、生産性の低下なども含まれます。
また、セキュリティに関しては、データセキュリティやバックアップシステムに多額の投資を行っているにもかかわらず、企業はほとんど無防備な状態になっています。老朽化したツールやテクノロジを高度なサイバー脅威から守ることが難しくなっています。
サイバーの脆弱性は、企業全体に影響を及ぼします。システムが古いため、IT スタッフは、ビジネスの成長に貢献するよりも、インフラの保護に多くの時間とエネルギーを費やすことになります。また、こうしたシステムが攻撃の餌食になると、莫大なコスト、業務の遅延、復旧の問題、関係者の信頼の喪失などにつながります。
そろそろデータセンターを移行する時期ではないでしょうか? もし、上記のような現実に不安があったり、実際に経験したりしているのであれば、その答えは「イエス」です。
企業が意味のある IT 改革への道を確実に歩むようにする必要があります。そのためには、どのようなプラットフォームやアップデートが必要なのか、それがビジネスにどのような影響を与えるのかを理解する必要があります。
データセンターの技術プラットフォームはいくつかあり、それぞれにメリットがあるため、コスト、パフォーマンス、柔軟性のバランスを取ることが重要です。完全なクラウドへの移行、オンプレミスの継続、ハイブリッドアプローチ導入のどれを選択したらよいでしょうか?
ビジネスの現状と将来のニーズの両方を考慮して、ソリューションを選択してください。ビジネス環境によっては、複数のインフラオプションのメリットを活用できるクロスプラットフォーム戦略を選択するほうが理にかなっている場合があります。
以下に、移行先として考えられるデータセンターの移行プラットフォームの詳細を示します。
経験豊富なエンティティが、データやワークロードの要件に合った最適な IT インフラの決定をサポートします。認定 IT サービスプロバイダが、最適なデータセンター移行計画の策定をサポートし、移行に伴う潜在的なリスクを最小限に抑えます。スムーズな移行により、ダウンタイムがほとんどなく、ビジネスへの悪影響もなく、プロセス全体を通してデータとアプリケーションを保護します。
データセンターの移行において、計画を立てることはおそらく最も重要なステップです。これには、物理インフラ、リロケーションチェックリスト、適切な IT インフラの選択、プロジェクトの管理とフォローアップの設定など、いくつかの要素が含まれます。
ここでは、移行の物理的な側面に焦点を当てます。主な目的は以下のとおりです。
データセンターのアップグレードは、単に最新のテクノロジを導入するだけではありません。業務を効率化し、最高の顧客サービスを提供するために、ワークロードとビジネスニーズを把握することも重要です。
事業における変更を戦略化してコミットするプロセスは複雑になることがあり、ワークロードやプロセス全体を移動させる場合はなおさらです。これには、多くの時間とトレーニング、企業内の全員の同意が必要です。
アプリケーション、データストレージセンター、依存関係を評価して、各ワークロードの配置先を決定しなければなりません。また、既存のインフラを完全に分析することは、現在のシステムをエンドツーエンドで把握し、プロジェクトの方向性を明確にするためにも不可欠です。
データセンター移行のベストプラクティスをまとめた以下のチェックリスト (順不同) は、リロケーションを成功させるための計画策定に役立ちます。
計画を立て、チェックリストを確認したら、次の段階は移行です。ここでは、データセンターの移行手順を 3 つに分けて説明します。
この段階では、計画段階で特定したアプリケーションやビジネスプロセスのサポートに必要な物理インフラを構築します。構築が完了したら、次に IT インフラの各要素の仕様を確認して、直前での変更がないかどうかを確認する必要があります。
続いて、サポートプロセスを確定します。ここで、プロジェクトの開始への支持を得るには、仮想または物理インフラ要素およびこれに伴うアプリケーションのサポートに関連しているすべての関係者が承認する必要があります。
特に、新しい IT インフラにかかるコストを考えると、移行は、エスカレーションとサポートのプロセスがすべて整備されているかどうかを確認する良い機会です。
最後に、さまざまなオーナーが物理インフラ構築のあらゆる側面を承認します。これは所有権検証の一種であり、この段階では特定のサーバー、スイッチ、ルーター、SAN などのオーナーの承認を得ます。
次のステップは検証です。検証とは、ネットワーク、コンプライアンス、コンピューティング、ストレージ、セキュリティの要件など、計画したことをすべて確実に実施するために必要なチェックアンドバランスのことです。データを新しい場所やインフラに移すことになるため、計画段階で確認した内容がすべて開発に反映されているかどうかを確認する最終チェックポイントとなります。
次のステップで実際の移行を開始する前に、機器のクールダウンを行います。サーバー、ルーター、ストレージアプライアンス、スイッチ、ファイアウォールなどの重要なハードウェアは現在、すべて正常に動作しているかもしれません。しかし、シャットダウンしてクールダウン後に電源を再投入して、オンライン状態に復帰することを確認する必要があります。
クールダウンチェックが必要なのは、検証段階で問題を検出することで、フェーズまたは移行プロセスのいずれかで解決するチャンスが得られるためです。たとえば、検証中にルーターなどの重要なハードウェアがオンラインに復帰しないことが判明した場合、新しいハードウェアを導入して迅速に問題に対処することができます。
いよいよ、アプリケーションとデータを新しいインフラやデータセンターに移動させる移行フェーズになります。ここでは、各アプリケーションの移行時の具体的な手順を示したアプリケーション移行計画に焦点を当てる必要があります。検出フェーズで特定された依存関係は、チェックリストに不可欠な要素となります。
すべてのアプリケーション、データ、ネットワーク構成のテスト移行を行い、すべての準備が整っているかどうかを確認できます。また、移行にかかる時間の目安にもできます。テスト移行を行う方法として、本番のインフラではなく、バックアップを移行することをおすすめします。また、1 つないし 2 つの本番アプリケーションをテストすることもできます。アプリケーションの重要度に応じて、テスト移行要素を自在に組み合わせることができます。
最後に移行を実施します。
移行が完了したら、サポートを含め、移行後の日常業務への復帰を明確にする必要があります。さらに、すべてが計画どおりに運用されていることを確認するために、プロアクティブな監視と応答システムを導入することをおすすめします。
リロケーション時に考慮すべきデータセンターの移行ツールは、主に 3 種類あります。
データセンターの移行には、リロケーションに伴う数多くのリスクと課題があります。
移行の際によくある過ちは、プロセスに関して現実的な時間の見通しを立てられないことです。テスト移行では、プロセス全体にかかる時間を大まかに把握しておくことで、後で想定外の事態を招くことがなく、ダウンタイムを確実に考慮できます。本番移行のプロセスはテスト移行よりも長くなりがちですが、これは細部にまで注意を払う必要があるためです。
移行後のテストには常に困難が伴います。それでも、顧客やスタッフを巻き込んで、その運用エクスペリエンスについて把握し、計画を立てることをおすすめします。移行する前に、ネットワークスタッフに協力してもらい、重要なアプリケーションの特定のトランザクションセットについてエンドツーエンドのパフォーマンスを測定し、時間を計測します。テストを記録に残し、リロケーション後もテストを繰り返します。
おそらく、移行を予定している重要なアプリケーションのバックエンドアタッチメントなど、隠れた複雑さを把握していないか、考慮していないものがあるでしょう。現在のデータセンターにあるレガシーアプリケーションの中には、自分の年齢よりも古いものがあるかもしれません。そのため、ぜひ今から顧客や従業員との間で詳細なインベントリを開始し、CMDB タイプのデータベースにすべてを記録しておくことをおすすめします。
データセンターの移行にはダウンタイムがつきものです。そこで、まずサポートチームやエンドユーザーに、リロケーションのサポートに必要な Q&A を時間を設けて実施するよう伝えます。スケジュールだけでも、計画に数カ月を要す場合があります。
最適化機能やロードバランサを使用している場合は、その構成レイヤーを参照して、移行の管理方法を確認する必要があります。また、考慮していなかった予備のハードウェアや、技術的な専門知識を持つスペシャリストのために、追加投資が必要になる場合があります。
物理データセンターや仮想データセンターを開発および構築する際の最大の課題は、さまざまなインフラパーツの相互依存性を認識せずに、インフラパーツをアップグレードしてしまうことです。移行の際に、IT インフラの重要なコンポーネントをアップグレードしても問題はありません。新しいネットワーク機器や、物理から仮想への移行など、リロケーション時のセットアップが容易なものもあります。
しかし、このような部分的なアップグレードは通常、その影響があちこちに及びます。そのため、計画段階で、予定されているアップデートとその相互依存性についてアピールするようにしてください。
検証でよくある過ちは、企業全体を参加させていないことです。検証は移行プロセスの一部であり、IT 部門、ネットワークエンジニア、IT チームはチェックリストでの不備を解消することに忙殺されます。そのため、関係者全員がプロセスに参加すれば、後になってから予期せぬ技術的な変更や追加の要件の発生を回避することができます。
移行プロジェクトの間、コミュニケーションに一貫性がなく、検閲がかかっていると、齟齬が生じたり、いずれ問題が発生したりします。全員を叱咤激励し、スムーズで迅速なコミュニケーションを取ることができる、公正な第三者を招くことをおすすめします。
一般には、ディザスタリカバリ用にデータやアプリケーションのバックアップを常に確保し、自然災害、システム障害、サイバー攻撃 (ランサムウェア、マルウェア、データ侵害など) による損失が発生した場合にすぐに復元できるように備えておく必要があります。
データセンターの移行を成功させるための計画と実行のプロセスについて見てきました。また、データセンター移行ツール、包括的なチェックリスト、移行中および移行後に予想される一般的なリスクや課題についても紹介しました。
データセンターの移行は、企業の全体的な運用環境を一変させ、魅力的な ROI など、長期にわたる大きなメリットもたらします。これは、ビジネスオペレーション、パフォーマンスの可用性、サービスレベル契約に影響を与える、戦略的で注目度の高いプロジェクトです。
具体的なデータセンターの移行方法があれば、運用の安定性を確保できます。また、予算内で予定どおりにリロケーションを行うために必要な条件として、負担にならないプロセスと適切な厳密さのバランスが保たれます。したがって、これは企業を保護すると同時に、その指針ともなります。
プロセス全体がチーム作業であり、移行後もテストや管理などのプロセスが続くことを忘れてはなりません。この取り組みを通じて達成しようとしている成果について、全員が同じ考えを持っていることを確認し、協力することが重要です。
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