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DSPM とは? データセキュリティ体制管理

データの盗難、不正アクセス、データの悪用は、企業が直面する極めて深刻なセキュリティ脅威です。サイバー攻撃者は、こうした戦術を使用して機密情報を盗み、システム設定を変更し、重要なビジネスデータを削除したり身代金を要求したりします。データセキュリティ体制管理は、データセキュリティと整合性の維持、および効果的なリスク管理の実現に役立ちます。データセキュリティ体制管理ポリシーでは、不正アクセスと悪用を防ぐためのデータの保護、監視、管理方法を規定しています。

この記事では、以下の内容について説明します。

データセキュリティ体制管理はいわば、機密情報を保護するために背後で働く「デジタル警備員」であり、企業が以下について包括的に把握し、データセキュリティを管理するのに役立ちます。

  • データが存在する場所
  • データの使用方法
  • データにアクセスできるユーザー

企業のデータ環境に含まれるものをすべて要約して、大きな問題になる前に潜在的なリスクを特定します。デジタルセキュリティ体制管理は、脅威が発生してから対処する従来のデータセキュリティ手法とは異なり、プロアクティブに対応します。その柔軟性により、固有のニーズを反映するように戦略を調整できます。また、ビジネスの成長と進化に合わせ、戦略を継続的に適応、拡張し、セキュリティに関する新たな課題や要件に対応します。

データセキュリティ体制管理ポリシーが非常に重要な理由

  • サイバー脅威は、AI と機械学習 (ML) によって大きく勢いを増し、ますます複雑化しています。企業がデータを防御するには、AI を活用した脅威検出、自動レスポンスシステムなど、高度なテクノロジに投資する必要があります。
  • 規制の広がりは、データ保護法の厳格化という世界各国の政府の要望を反映しています。
  • クラウドコンピューティングや IoT がもたらすセキュリティの新たな課題により、複数の環境にわたってデータを保護し、かつてないほどつながりの広がった世界で堅牢なデータ保護を確保する、革新的なソリューションが求められています。

データセキュリティ体制管理を策定して適用すれば、企業のデータセキュリティ手法の一貫性、包括性が確保され、最新の脅威に対処するための体制が整います。また、規制コンプライアンスが確保され、データ制御が向上するとともに、セキュリティ運用が強化され、データリスクが軽減されます。

これまで何度も見てきたとおり、データ侵害は、金銭的損失、評判の低下、罰金など、深刻な影響をもたらす可能性があります。現代の企業に起こるこのような侵害は、そのほとんどが不適切なデータセキュリティ対策およびガバナンスによるものです。データセキュリティ体制管理では、データ資産のセキュリティ体制の継続的な監視と評価により、脆弱性や設定ミスを悪用される前に検出することができます。このプロアクティブなアプローチにより、企業は戦略的な資産を保護し、事業継続性の確保と関係者の信頼強化を実現できます。

データセキュリティ体制管理と DLP

データセキュリティ体制管理とデータ損失防止 (DLP) は、どちらも重要なサイバーセキュリティツールですが、果たすべき目的が異なります。

  • データセキュリティ体制管理は、企業の全体的なデータセキュリティ体制に重点を置いています。データがどこに存在し、どう保護されているかを包括的に把握して、企業がセキュリティギャップを特定し、すべてのデータソースに対して一貫したセキュリティポリシーを適用できるようにします。特に、複数のクラウド環境とオンプレミスシステムにわたる複雑なデータの管理に役立ち、データセキュリティの可視性と制御を強化します。
  • DLP は、データ侵害とデータ漏えいの防止に重点を置いています。DLP システムは、エンドポイントアクティビティ、ネットワークトラフィック、使用中のデータを監視および制御して、不正アクセスや機密情報の転送を防止します。機密データの漏えいや正規の承認なしの企業外への送信を検出し、阻止するように設計されており、データフローとデータ処理に焦点を絞っています。

データセキュリティ体制管理の仕組み

データセキュリティ体制管理は、現代のサイバーセキュリティ戦略に不可欠な、動的で堅牢なフレームワークです。

  1. 高度なデータ検出および分類手法を使用して、すべてのデータ資産に説明が付けられ、機密性に基づいて適切に保護されるようにします。
  2. 継続的な監視により、これらのデータ資産を注意深く監視し、セキュリティベースラインからの逸脱を速やかに特定します。
  3. 自動化された修復機能により、セキュリティの問題に迅速かつ効果的に対応し、企業のデータの整合性と安全性を維持します。

データセキュリティ体制管理は、このようなメカニズムを活用して、多様性に富み、進化し続けるデジタル環境でデータを管理し、保護するための包括的なソリューションを提供します。これらの 3 つの機能について詳しく説明します。

#1: データセキュリティ体制管理に導入されているデータの検出と分類

データセキュリティ体制管理戦略の最初のステップは、データの検出と分類です。このプロセスでは、企業の IT エコシステム全体をスキャンして、クラウド環境、オンプレミスサーバー、モバイルデバイスなど、さまざまなプラットフォームに保存されているデータを見つけます。すべてのデータが特定されると、データセキュリティ体制管理ソリューションがその機密性と企業にとっての価値に従って分類します。個人を特定できる情報 (PII)、財務関連の詳細情報、知的財産は、より高い機密レベルに分類されます。

データの分類は、それによって適用するセキュリティ対策が決まるため、極めて重要です。たとえば、機密性の高いデータには暗号化と厳格なアクセス制御、機密性が低いデータには基本的なセキュリティ対策が必要とされます。高度なデータセキュリティ体制管理ツールでは、ML アルゴリズムを使用して検出と分類を自動化し、プロセスをスピードアップし、人的ミスのリスクを最小限に抑えます。

#2: データセキュリティ体制の継続的な監視と評価

すべてのデータが検出され、適切に分類されると、データセキュリティ体制管理システムのフォーカスは、継続的な監視と評価へ移ります。24 時間体制でデータが監視され、セキュリティ体制の変化が追跡されます。サイバー攻撃者に悪用される可能性のある、不規則なアクセスパターン、データ漏えいの可能性、または脆弱性が常時チェックされます。

継続的な監視は、ベースラインセキュリティ設定を定義し、これらの確立された標準に対して現在のデータ処理と保存の手法を比較して行います。ベースラインの逸脱にはレビューのフラグが付けられるため、企業はデータセキュリティの健全性を常に把握し、潜在的な脅威が実際の侵害にエスカレートする前にそれを簡単に特定することができます。

#3: 脆弱性と設定ミスの自動修復

データセキュリティ体制管理の最も大きな利点の 1 つは、検出された脆弱性や設定ミスの修復を自動化できることです。システムによってリスクやコンプライアンス違反の問題が特定されると、データセキュリティ体制管理ツールが定義済みのセキュリティプロトコルをトリガし、人の介入なしで問題を修正します。これには、ソフトウェアの再設定から権限の更新または脆弱なシステムへのパッチ適用まで、あらゆる操作が対象になります。

広範なデータ環境を抱える企業にとって、自動化はセキュリティ対策を効果的かつ効率的に拡張するための鍵となります。自動修復によって脆弱性が速やかに対処され、攻撃者による悪用の対象となる期間が大幅に短縮されます。また、すべてのデータ資産にポリシーコンプライアンスが継続的に適用されるため、一貫したセキュリティ体制を維持することができます。

信頼性の高い評価ツールであるデータセキュリティ体制管理では、包括的なセキュリティ監査によってデータのアクセス権限が評価され、権限のあるユーザーにのみ機密情報のアクセスが許可されます。たとえば、役割に関係のない機密データにアクセスしている従業員を特定することができます。誤って企業全体でアクセス可能になっている PII を特定することもできます。このような脆弱性インサイトにより、データ管理のギャップが浮き彫りになり、データセキュリティが侵害されている可能性のある領域が特定されます。

データセキュリティ体制管理のユースケース例:

  • オンプレミスデータベースの移行中に漏洩したデータに権限のない第三者がアクセスすると、セキュリティ体制管理は、データベースに PII が含まれているというフラグを付け、企業のセキュリティチームにリアルタイムで警告し、チームが適切な措置を迅速に講じられるようにします。
  • Google Workspace を使用している企業が、定期的に特定のプロジェクトに対してデータアクセスを許可しています。セキュリティチームが権限を取り消すのを忘れると、機密情報が必要とされなくなっても、多くのユーザーにそのアクセスが許可されたままになる可能性があります。データセキュリティ体制管理は、PII を含むデータベースが共有されていればそれを通知し、権限がまだ必要かどうかを確認します。
  • データセキュリティ体制管理は企業外部への機密データのメール送信を検出できるため、セキュリティチームがデータ漏えいインシデントを防止できます。

データセキュリティ体制管理のその他の主な概念

データセキュリティ体制管理は多数の要素で構成されています。これらの要素がまとめられ、さまざまな環境にわたってデータを保護するためのフレームワークを形成します。すでに説明した要素に加え、次のような要素があります。

  • データセキュリティポリシーの作成と適用を含むデータポリシー管理。これらのポリシーでは、分類とリスクに基づいてデータをどのように処理、アクセス、保護する必要があるかを規定します。それによって業界のベストプラクティスやコンプライアンス規制に沿ったデータセキュリティ対策を一貫して適用できるようになります。
  • 影響を受けるシステムを速やかに分離し、将来のインシデントを防止するためのアクションを実装する、迅速なインシデント対応および修正。
  • データ処理が法的および業界要件を満たすようにするためのコンプライアンス管理

データセキュリティ体制管理の利点

データセキュリティ体制管理は、管理の向上、リスク軽減、効率的なインシデント処理を通じて、企業のデータ保護能力を高めます。データ資産を保護し、可視性、リスク管理、インシデント対応に重点を置くための革新的かつ戦略的なアプローチを提供します。その主な利点は以下のとおりです。

  • データ資産の可視性と制御の強化。この機能により、データの保存場所とアクセス場所を正確に追跡でき、監視の効果が高まります。データセキュリティ体制管理は、データフローとアクセスパターンを監視して、不正な使用を防止し、セキュリティポリシーがすべてのプラットフォームにわたって一貫して適用されるようにします。
  • データ侵害とコンプライアンス違反のリスク軽減。統合ツールでは脆弱性をリアルタイムで特定するため、悪用される前に即座に修復でき、GDPR、HIPAA、その他の規制コンプライアンス違反に関連して高額な罰金が科せられる可能性を減らします。
  • インシデント対応の合理化と迅速な解決。自動検出と対応/応答のプロセスにより、脅威を特定して軽減するまでの時間が短縮され、リカバリがスピードアップし、業務に対する潜在的な影響が最小限に抑えられます。
  • 分析機能の強化。データセキュリティ体制管理ツールには、企業のセキュリティ傾向を把握および予測するのに役立つ高度な分析が含まれています。この予測機能により、セキュリティ戦略をプロアクティブに調整でき、データ保護対策の有効性がさらに高まります。
  • 費用対効果に優れたセキュリティ管理。データセキュリティ体制管理は、データセキュリティの多くの要素を自動化して、これまでデータ保護を管理するために必要とされていた手作業とリソースを大幅に減らします。この自動化により、運用コストが削減され、IT チームは日常的なセキュリティメンテナンスではなく、戦略的なタスクに集中することができます。

このような利点が重なり合って企業の全体的なセキュリティ体制が強化され、データセキュリティ体制管理が現在のデータ管理戦略に不可欠なコンポーネントになります。

データセキュリティ体制管理とその他のセキュリティ技術の統合

データセキュリティ体制管理を他のセキュリティ技術と統合すると、企業の全体的なセキュリティフレームワークが強化されます。

  • クラウド環境におけるセキュリティ体制の管理 (CSPM)。データセキュリティ体制管理と CSPM は、異なりながらも補完し合うセキュリティ要素に技術的な重点を置いており、その相乗効果が極めて重要です。データセキュリティ体制管理がデータアクセス環境を保護し、CSPM がクラウド設定がセキュリティのベストプラクティスと整合すれば、データ侵害につながる可能性がある設定ミスを防ぐことができます。この 2 つによってデータと環境セキュリティを包括的に把握できるため、リスクを効果的に検出し、軽減する企業の能力が強化されます。
  • アイデンティティ/アクセス管理 (IAM) およびセキュリティ情報とイベント管理 (SIEM)。データセキュリティ体制に関するインサイトをデータセキュリティ体制管理から得て SIEM システムに供給し、監視と分析を強化できます。IAM との統合により、アクセス制御が適切かつ一貫して適用され、すべてのアクセスポイントで機密データの保護が強化されます。

データセキュリティ体制管理ソリューションを選択するにあたっては、企業の既存のインフラとどのぐらい適切に統合するかを検討することが重要です。このソリューションは、現在のセキュリティツールとシームレスに連携し、統合を容易にするための標準プロトコルや API をサポートしている必要があります。これにより、既存のセキュリティ投資を最大限活用しながら、データセキュリティの脅威に対する堅牢な統合防御を実現することができます。

検討すべきその他の重要な要素には、拡張性、クラウドとの互換性、一元管理などがあり、選択するソリューションを現在のセキュリティインフラおよびプロセスと適切に整合させるのに役立ちます。

データセキュリティ体制管理のベストプラクティス

効果的なデータセキュリティ体制管理の実装には、セキュリティ戦略にシームレスに統合するための構造化されたアプローチが必要です。ベストプラクティスは次のとおりです。

  • 企業のデータセキュリティニーズと要件の評価。この評価では、機密データを特定し、保存の方法および場所を把握し、脆弱性を特定するための既存のセキュリティ対策を評価する必要があります。
  • データセキュリティ戦略と広範なセキュリティ目標との整合。データセキュリティ体制管理の統合により、すべてのセキュリティフレームワーク要素が相互接続され、すべてのプラットフォームと環境にわたってデータ保護が強化されます。たとえば、医療機関は、データセキュリティ体制管理を統合して複数のシステムにわたる PHI (保護医療情報) を監視し、リアルタイムのセキュリティ評価を自動化して HIPAA 規制を遵守します。
  • データガバナンスとアクセス制御のための明確なポリシーと手順の確立。ポリシーでは、どのユーザーがどのような状況において、どの方法によってデータにアクセスできるかを定義する必要があります。効果的なガバナンスにより、データは法規制標準に準拠し、責任を持って使用されます。たとえば、テクノロジ企業であれば、データセキュリティ体制管理を使用して知的財産に厳格なアクセス制御を適用し、プロジェクトへの関与とクリアランスレベルに基づいて特定の種類のコードにアクセスできる開発者を指定します。

これらのベストプラクティスに従うことによって、データセキュリティ体制管理の有効性が最大限まで高まり、堅牢なコンプライアンスを確保しつつ、新たな脅威からデータ資産を保護することができます。

データセキュリティの簡素化

データセキュリティ体制管理への投資によって、デジタル時代のセキュリティの複雑さに対応し、最も貴重な資産の 1 つを保護できるツールが手に入ります。ベリタスは、既存の脅威、新たな脅威、将来の脅威から効果的に防御する革新的なセキュリティソリューションによってお客様の企業のデジタル環境を保護します。これにより、お客様はますます厳しくなるグローバルなデータ保護規制に対応できるようになります。つまり、デジタル環境のセキュリティとレジリエンスの強化に向けた重要な一歩です。

デジタル資産を保護するためのベリタスの包括的なアプローチは、セキュリティ体制管理を合理化し、運用効率を高めます。これにより、企業は安心を得て、安全なデジタル環境で成功を収めることができます。

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