企業は絶えずデータの収集、分析、保存を続けていますが、現在ではクラウドがこの新たなデータ供給のルートになっています。そのため、データの一貫性、正確性、プライバシー保護の必要性が生じています。これを怠ると、軽微なエラーや些細な問題に見えるようなことが、意思決定、販売、顧客維持などの日常業務に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。
蓄積されたデータを分類するためには、データの整合性を維持しながら既存のデータベースと同期し、定期的に解析を行うことが不可欠です。そのため、データ同期ツールは、企業がデータ管理のために使用する最も重要なツールの 1 つになっています。
このプロセスにより、データの正確性、安全性、最新性が保証され、チームワークとカスタマーエクスペリエンスも向上します。すべてのデータが同期されることで、クリーンかつ高品質で最新のデータを手にすることができ、不整合、エラー、重複などの問題を排除することができます。
演奏者の息が合わず、楽器の音がばらばらなジャズコンサートを聴くことを想像してみてください。聴こえてくる音はまとまりがなく説得力を欠き、楽しむことはできません。同様に、時計の時刻も同期されていなければ混乱が生じてしまいます。生活のあらゆる物事を時計に頼って執り行い、調整しているためです。
これと同じことがビジネスの世界にも当てはまります。企業が事業活動を行い、成長していくためには、部門、目標、従業員、ソフトウェアアプリケーションを同期させる必要があります。しかし、どの企業も目標と部門を連携させる重要性を理解している一方で、データ同期の重要性を見過ごしていることは少なくありません。
このガイドでは、データ同期に関するすべてとその実装方法、さらにそれがなぜ重要であかについて説明します。
データ同期とは、企業が多種多様なソースやソフトウェアアプリケーション間でデータを統合し、これらのシステム内のデータの一貫性を確保するために使用するプロセスのことです。新規のデータにも既存のデータにも適用される継続的なプロセスです。
クラウドで保存および提供される膨大な量のデータが企業に課題を突きつけています。その一方で、クラウドはビッグデータに対する解決策ともなります。現在のデータソリューションでは、簡単かつ迅速なツールが提供されるため、単調な作業に煩わされることなく、システム全体でデータの調和を実現することができます。
同期を行うことで、データの正確性、コンプライアンス、セキュリティが確保され、チームの成功とカスタマーエクスペリエンスの向上がもたらされます。さらには、データソースとさまざまなエンドポイントとの整合性も保証されます。これは、データを受信した時点で、クリーンアップのためのツールが動作し、さらに別のツールがエラー、重複、整合性をチェックした後に、データを使用または保存できるようになっているためです。
リモート同期はモバイルネットワーク経由で実行され、ローカル同期は、隣接するコンピュータ、デバイス、システムどうしで実行されます。効率的なシステムとは、データレコード全体ですべての企業データの一貫性を確保できるシステムです。つまり、変更が発生した場合、その変更をリアルタイムですべてのシステムにわたって反映できる必要があるのです。これにより間違いやプライバシーの侵害が防止され、最新データの可用性が確保されます。
最後に、同期では以下の 2 つの処理が必要になります。
データベース同期は、データベース間のデータの一貫性を確立する処理であり、変更を自動的に双方向でコピーします。時間の経過にともなってデータの調和が継続的に行われます。最も一般的なケースとしては、ソースデータベースからターゲットへのデータの取得が挙げられます。この場合、ソース (マスター) データベースへの変更がターゲットデータベースへ適用される必要があります。
データベース同期では、1 つの行のみを一意に識別するための主キーを各テーブルが持つ必要があり、これにより、データメンテナンスのプロセスが大幅に簡素化され、同期の速度が向上します。
データベース同期には以下のさまざまな種類があります。
データを同期するしくみには、手動でのデータベース更新、ソースデータベースの変更によってトリガーされる python スクリプト、ETL を使用した自動データパイプラインなど、さまざまな方法があります。どの場合でも、プロセスは以下のようになります。
データ同期プロセスは、テーブル内のフラグの設定、ファイルの最終変更日を定期的に確認するスクリプトなど、複数の方法を使用してターゲットデータベース上のデータへの変更を検出します。
同期は完全なレプリケーションを行う作業ではありません。プロセスで必要なのは、バージョンを比較する、変更ログを確認する、または新しい値を示すフラグを探すことによって、変更が行われたインスタンスを特定することです。
同期プロセスは、変更を特定して抽出した後、以下の 2 つの方法のいずれかを使用して、データの移動をスケジュールします。
データ転送プロセスは、Web またはファイル転送プロセスを通じて発生する場合があります。同期が ETL プラットフォームを使用する場合、手動での介入なしにバックグラウンドで自動更新されます。
2 つのデータインスタンスが同一でない場合、受信データは、クレンジングと調和を実行する変換レイヤーを通過します。
同期プロセスでは、以下の複数の方法のいずれかを使用して、受信した変更をターゲットデータに書き込みます。
いずれの方法でも、データロスを生じさせずに各データインスタンスを更新することを目標としています。
システムが更新されると、何らかの方法を使用して、正常に更新されたことを確認します。たとえば、アプリケーションプログラミングインターフェース (API) が更新を処理した場合は、成功を確認するメッセージを返します。この確認メッセージの送信が失敗すると、プロセスは更新を再開しようとするか、エラーメッセージを返します。
使用できるデータ同期方法は複数あります。それらを以下で説明します。
ファイル同期およびバージョン管理ツールでは、複数のファイルコピーを一度に変更することができます。一方、DFS およびミラーツールは用途がより限定されます。
以下に、同期、統合、レプリケーション、データプッシュの定義と違いを示します。
企業は、多数のアプリケーションとソフトウェアプログラムを通じてデータを収集および処理します。中には、100 を超えるソフトウェアツールを使って業務を実行している企業もあります。その結果、従業員は、さまざまなアプリケーションで同じデータセットを表示することになります。具体的には次のとおりです。
結果として、多くの情報が異種のソースから入力されるため、互いに通信していないと、データベースは容易に秩序を失い、整合性を欠くようになります。
異なるアプリケーションをまたいで同じデータを利用することは、個々のチームにとって不可欠です。しかし、データの結合と同期が行われていなければ、更新されたデータをアプリに手動で再入力しなければならなくなります。これでは従業員の負担が多きすぎるうえ、エラーも発生しやすくなり、さらなる不一致の発生につながります。
データが同期されていないと、以下のような多くの弊害が発生することになります。
こうした問題が、低いデータ品質や不十分なデータ管理によってが企業に年間数百万ドルの負担がかかる理由です。
データを同期することで、企業はビジネスのあらゆる側面を明確に把握し、コミュニケーションの透明性を確保し、実用的で信頼性の高いレポートを生成できます。また、共通目標、チームワーク、情報に基づく意思決定に関して部門が連携できます。
クラウドベースのデータとモバイルデバイスへのアクセスが増加するにつれ、データ同期の重要性が高まっています。モバイルデバイスはあらゆる企業に浸透しており、多くの新しい問題やソリューションを生み出しています。これらのデバイスは、基本業務のためのデータだけでなく、Web サイト、メール、アプリなどの個人情報も使用します。
このため、ユーザーが生成する情報とエンドターゲットの更新は、持続的かつ安全に行われる必要があります。さらに、製品の性能やサービス品質を維持し、セキュリティや規制コンプライアンスなどのデータガバナンスの課題に対応するには、クリーンで一貫性のある最新のデータが必要になります。
データの競合は、データ品質の低下やエラーを発生させ、信頼の欠如につながる可能性があります。システム全体にわたってデータ同期を適切に実装すると、以下のような多くの領域でパフォーマンスが向上します。
さらに、データの可用性とタイムリーなエラー解決により、時間が節約され、新製品の開発、戦略的な意思決定、マーケティングなどの重要なビジネス開発プロセスに重点を置くことができます。以下のように、誰もがデータ同期の恩恵を受けることになります。
全体として、データ同期によって企業の業務が円滑に進むようになります。また、データ同期は拡張可能です。
データ同期は、以下をはじめとするさまざまな状況で役立ちます。
同期は、2 つ以上のデータソースの一貫性を維持するのに役立ちます。つまり、1 つのソースでの更新がその他すべてにミラーリングされます。たとえば、CRM、請求システム、顧客の電子商取引アカウント、その他のフルフィルメントシステムなど、データベース上の複数の場所やアプリケーションで顧客のアドレスが参照される場合があります。
このような場合、顧客が電子商取引アカウントで住所を変更した場合、その変更は同期プロセスを通じてその他すべてのシステムに反映される必要があります。
クラウドコンピューティングや分散システムでは、データが複数の場所に存在する可能性があるため同期が不可欠です。同期により、ユーザーは常に最新のデータバージョンにアクセスでき、更新内容が確実に保存されます。
たとえば、DropBox、OneDrive などのクラウドサービスを使用する場合、ユーザーは、1 つのデバイスでドキュメントを作成してクラウドに保存し、別のアプリケーション、Web ブラウザ、またはデバイスで開くことができます。クラウドサーバーは、ユーザーが行った変更を反映して保存し、接続されたすべてのデバイスで更新を適用して古いバージョンを最新のコピーに置き換えます。
また、データがオンプレミスおよび Microsoft Azure、AWS、Google Cloud Platform などのクラウドサービスに保存されるハイブリッド統合環境でも、同期が役に立ちます。AWS データ同期や Azure データ同期などのプロセスは、データの強化、フィルタリング、変換、集約を処理してからデータを転送して保存します。逆の場合も同様です。これは、データの正確性と一貫性を維持しながら、業務を中断することなくリアルタイムで行われます。
データレプリケーションは、データウェアハウスなどのリポジトリにデータを保存するときに使用されます。ただし、データの更新にはリアルタイム同期が必要です。たとえば、ディザスタリカバリシナリオでは、企業は最新のデータスナップショットが必要になります。したがって、バックアップが定期的に同期されていれば、大規模なデータ損失が回避されます。
同期には、リレーショナルデータベースの構造の変更など、大規模な変更を含めることができます。このため、プロセスで、テーブルの追加や削除、列の名前変更を行うことができます。たとえば、GDPR でユーザーに cookie 設定について質問するという要件が導入されたとき、影響を受ける企業は、新しいデータベース列、場合によっては完全に新しいテーブルを導入して追加情報を保存する必要がありました。これらの変更は、ネットワーク全体にわたるすべてのデータベースインスタンスで反映される必要があります。
その他の同期ユースケースには以下のようなものがあります。
データ同期には以下のような利点があります。
データ同期には高度な専門知識が求められる訳ではありませんが、クラウドおよびオンプレミスシステム全域でデータの健全性と最新性を維持することは簡単ではありません。以下のような課題があります。
使用できるデータ同期ソリューションにはさまざまな種類があります。たとえば次のようなものです。
ベリタスは、SyncNetBackupData を介して NetBackup データ同期を提供します。資産に同期のフラグが付けられるたびに API が呼び出されます。その後、システム更新によって、マークされた資産が選択されます。プロセスによってイメージと保護がインポートされ、トラフィックライトのステータスが再計算されます。
デフォルトでは、100 個の資産を一括して 5 分で、またはインポート用にマークされた資産がなくなるまで処理します。また、Backup Now 要求で特定の資産が優先度の高い資産としてマークされていない限り、最初に追加された資産が優先的に処理されます。
同期が失敗すると、システムはその資産をしばらくの間ロックして他の資産を処理することで、処理が滞留しないようにします。
データ同期ソリューションには多くの選択肢があるため、企業は以下の質問項目に答えられる明確な戦略が必要です。
運用上の課題を解決できる統合ツールをすべて備えたアプリケーションが手に入る場合もあるでしょう。たとえば、NetBackup では、データを同期するための最も安全かつ簡単で直感的な方法が提供されます。また場合によっては、ニーズに応えられる iPaaS ソリューションを 1 つ以上用意することが必要になるかもしれません。